なるほど・いんふぉ

日々の暮らしの中で、なるほど!と思うことを記事にしてまとめています。

児童養護施設ってどんなところ? どんな仕事をしているの?

 

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みなさんは、児童養護施設を知っていますか?

 

名前は聞いたことがあるという人もいるでしょう。

 

しかし、どんな場所

どんな人が関わっているか

知らない人は多いかと思います。

 

筆者は保育士として保育実習、

そして個人的なボランティアで

児童養護施設へ行かせていただいていました。

 

関わっていくなかで、

知らないが故に

周囲からの誤解や偏見

持たれることもある

ということを知りました。

 

全ての人が深く理解することは

難しいことだと思います。

 

まずは、「知る」ことが大切なのです。

 

1人でも多くの方に知ってもらえたらと思い、

今回は児童養護施設についてのお話をさせて頂きます。

 

 

児童養護施設の実態

 

児童養護施設というと、

親のいない子供が入所するイメージが

強いかと思います。

 

戦争孤児などが多い時代はそうでした。

 

そして確かに、

児童養護施設に入所する

子どもの定義として、

 

「保護者のない児童、虐待されている児童など、環境上養護を要する児童」

 

(ウィキペディアより引用)

 

と一番最初に挙げられているように、

保護者のいない子どもが対象です。

 

しかし、実態は少し違います。

 

入所している子どもの多くは、

保護者がいるのが現状です。

 

つまり、保護者はいるが、

様々な理由で育てられないという子どもが

とても多いのです。

 

理由は虐待、

ネグレクト(育児放棄)

経済的状況

保護者の心身的な問題

長期入院などがあげられます。

 

テレビドラマ等で、

施設に預けられている子どもに向かって、

「やーい、捨て子!」

「パパもママもいないくせに!」

なんていういじめっ子のセリフは

現状と少し離れてきている部分もあるのです。

 

児童養護施設は、

2歳〜18歲までの子どもが入所します。

 

ですから、入所している子どもたちも、

入所していない子どもと同じように、

保育所、小学校、中学校、高校に通います。

 

全国に603ヶ所(厚生労働省家庭福祉課調べ)

ありますから、

自分の子どもが通っている学校にも、

施設から通う子どもが居てもおかしくありません。

 

このように考えてみると

意外と身近なことのように

思えるのではないでしょうか?

 

 

児童養護施設における保育士の役割

 

施設には法律で

「施設長」

「保育士」

「児童指導員」

「家庭支援専門相談員」

「個別対応職員」

「調理師」

「栄養士」

「嘱託医」

の配置が義務づけられています。

 

そのなかでも、「保育士」は

みなさんの想像とは全然違うお仕事をしているのです。

 

今回は保育士の仕事

スポットライトを当てて見ていきたいと思います。

 

簡単に文章でまとめると、

「子どもの日常生活を支えながら、

健康な発育や発達、自立を支援すること」が仕事です。

 

このように文だけでみると、

「ふーん」と思うだけかもしれません。

 

また、保育士の一般的なイメージでは、

保育園のように子どもの面倒をみる

イメージが1番強いかと思います。

 

簡単に言うと、

お母さんと学校の先生を足した

ような感じなのです。

 

子どもたちを起こし、

支度をさせ、

学校に送り出す。

 

その間に洗濯や掃除、

そして支援についての会議や

学校、家庭との連携、その他書類などを済ませます。

 

子どもが帰宅したら宿題をみて、

一緒に食事をしてお風呂に入り、

寝かしつけをします。

 

そして寝た後にはまた仕事があります。

 

もちろん、24時間365

勤務になりますので

夜勤やお盆や正月などの休みもないのです。

 

その面は、本当にお母さんのような感じがしますよね。

 

「日常生活」と言いますが、

児童養護施設では、様々な形で

心に傷がある子どもが沢山います。

 

そればかりか、辛い経験から

愛着障害が出てしまうことも多いです。

 

人との関わり方が上手くいかなかったり、

自分も人も大切にできず暴力的になってしまったり、

困らせるようなことをしたりします。

 

そのような状態の子どもに対する

支援もしながら送る日常生活は、

想像以上に大変なのです。

 

年齢も幼児から高校生まで幅広いので、

悩みもとても多様なことでしょう。

 

筆者が実習に入ったときには、

愛着関係のある小学生の女の子が、

靴下を履くという

日常生活の小さな一コマが上手くいかず、

暴れて自分にも先生にも噛み付いて

泣いていたこともありました。

 

また、施設は18歳までと定められているので、

施設を出るときは未成年

 

家庭に戻らず自立を選んだ子どもの、

アパートや携帯電話の契約の際に、

保証人になることもあるそうです。

 

これには驚きました。

 

そんな大変なお仕事ですが、

筆者が行っていたボランティア先の

児童養護施設勤務の保育士さんは

「子育てのように、子どもの成長

笑顔を見るのがやりがい」

だと言っていました。

 

また、家庭に戻り

保護者と幸せそうに暮らすことや

社会に出て自立する姿

一緒に生活する時間が長いぶん、

本当に感慨深いものだそうです。

 

 

まとめ

 

いかがでしたか?

 

意外と身近にある児童養護施設

 

私たち大人は保護者の立場として、

ドラマや漫画などから抱くイメージで

「親がいない」とか、

「可哀想」と勝手に決めつけてはいけません。

 

それぞれに事情があります。

 

大人として、保護者の立場として、

幸せになるために道を歩んでいる子どもを

応援する姿勢でありたいですね。

 

そしてそこで働く職員も、

子育ての同志であり、人を育てるという

素晴らしい仕事をしているということを忘れないで頂けたら幸いです